天真名井家文書
天真名井家文書とは、
天真名井（天内とも）家とは、後土御門天皇の子孫とされる家系です。紆余曲折の歴史あり近代では、奥州の津軽を中心に存在していた家系です。幕末の戊辰戦争の時には、天内嘉之という人物を中心に一族三百数十名がこれに参加したといいます。これらの詳細は『東日流外三郡誌 補巻』（北方新社、昭和61年刊）で読むことが可能。今、彼らが遺したとされる文書を「天真名井家文書」と呼ぶことにします。
その天真名井家文書のうち、縁故者である弘前市の竹田侑子氏が所蔵しているものを中心に、以下に掲載しています。
目次
- 金光上人一代絵図
- 「獨明決定儀」「四苦諦證」「金光上人系譜」「金光上人御生涯抄」を含む巻物。
- 金光上人絵巻
- 金光上人の誕生から死までの絵巻。著者等詳細は不明、現在は断片集となっている。
- 東日流展鉢抄ほか／金光上人著述
- 金光上人自身の著述もの。「東日流展鉢抄」「露玉」「露枯抄」が含まれます。
- 安心立命之事
- いわゆる「一枚起請文」の原型かとも思われる文書。“念佛不信人”という表記が注目される。「源空の手形」らしき手印が押されているが、勿論これは源空筆の実物ではなく、明治頃に再写・模作されたものでしょう。他には「安心立命之證」「往生必得證」などあり。
- 法然からの手紙
- 「取り急ぎ一筆啓上仕る」に始まる、法然からの書簡。朝庭からの弾圧を受けた法然が、金光を呼び返すために書いたもの。
- 覚往生記
- 金光上人の死去する直前の日記。金光とは法然の高弟の一人で、東北・津軽で念佛布教をした僧侶。
- 金光月影抄（断片集）
- 「金光月影抄」とは金光上人の伝記の類。古くは応永年間の頃に玄瑞という人によって書かれたものがある。その後、多くの人により再写された。ここに掲載したものも、それらの断片と見られるもの。末尾に「應永元年」の日付があるが、勿論これは念西筆の原本ではなく、明治の頃に再写されたものでしょう。
- 書遺之事
- 金光上人の遺言。明治頃に再写されたと見られるもの。
- 末法念佛独明抄（断片集）
- 「末法念佛独明抄」とは、金光上人の代表的な著書とされるもの。その断片らしい。
- 末法念仏獨明鈔 断片集
- これも「末法念佛独明抄」の断片集と見られるもの。不明だが、もと巻物としてあったものか。
- 末法念仏獨明抄 上巻 八宗一如篇
- 「末法念仏獨明抄」の上巻らしいが、劣化が酷い。大半は「天台四教儀」（高麗僧・諦観の著、当時の「天台教学の入門書」とされたもの）からの引き写しだが、「末法念仏獨明抄」の本領は下巻の「念佛往生篇」にあるものと予想される。小見出しは編集で付加したもので、元資料にはありませんのでご注意。
- 末法念仏獨明鈔ほか
- 巻物断片より／金光月影抄（巻物の断片）／末法念佛獨明抄
- 金光山施主院縁起
- 東日流藤崎金光山施主院縁起／施主堂縁起
- 金光上人関連の断片集
- 引導 金光房埋葬要唱／金光上人御生涯之事／流罪赦免狀／初陣の辭／藤咲施主寺／他
- 金光上人誕生絵巻、断片
- 詳細不明だが「金光上人誕生絵巻」の断片とおぼしきもの数片、状態は悪い。
- 沙門金光巻物
- 金光上人の著述らしい。もちろん原本ではなく、後世の再写と見られるもの。
- 金光写経
- 金光による写経。もちろん原本ではなく、後世の再写と見られるもの。
- 金光月影抄（絵巻物）
- 原著は念西によるものだが、再書かもしれず。劣化が酷いので、丁合ミスがあるかも。
- 修験宗根本大要
- 奉天眞井謹㝍／修験宗元祖役小角仙人從弟之芳名／石塔山役小角墓跡／天眞名井書管之㝍書／修験宗曼荼羅／他
- 修験宗騒動
- 江戸天明期ごろの大峯・出羽三山の山伏の騒動。「佛典及び佛像を中山秘洞に隠して安全たり」とある。
- 修験宗傳道抄
- 東日流三密場／傳道之事／宗尊像之事／経典之事／ほか
- 唐天竺旅景記
- 唐小摩による旅行記という。天文年間の再筆。巻頭に「魔神山修験宗法藏洞、奉納諸物」あり。
- 大光院秘録
- 諸世界大觀／支那帝王系／修験宗大要／十方世界地理図／修験宗民習學校／ほか
- 東日流無明録
- 行来川の灯人形流しの話など。巻物の断片。作者など詳細は不明。
- 清霊灯流し、他
- 「東日流淸靈流灯之由来」「東日流大光院覚書」「憤涙之閉山」「法灯暗滅」を含む。
- 修験宗、断片集
- 阿育王／三身院秘藏覚書／三身院法藏洞図解／修験宗戒律覚書／修験宗念佛講覚書／など20点ほどあり。
- 大光秘巻之写
- 内容は「修験宗東日流年譜」。享和年間の大光院の住僧の書という。
- 天内氏秘洞関係
- 挙兵御用金之事／中山岩窟寺／天誅軍資御用達金秘藏案図／魔神山不門窟しるべ
- 魔神山仏法僧窟
- 詳細は不明だが、江戸初期の頃の出来事。文書類を洞窟に埋めたという話らしい。
- 献魔神山法藏洞
- 前段は「般若心経」の書写文。
- 曼荼羅
- 詳細は不明だが、天内講の諸儀式で使用したものか。
- 東日流検非違使庁覚
- 東日流安東氏の検非違使庁としての治政に関する文書。天内文書に含まれていたもの。
- 安東氏由来系譜
- 「安東氏由来系譜」「東日流安東潮王禄」「十三港渡嶋安東舶海路宿控」を含む。
- みちのくの風
- 前九年の役の話の断片集。元は巻物か。現在はバラバラの1枚ものとなっているもの。
- 髙楯城図、他
- 髙楯城図／髙楯天誅党報復／天誅党始末
- 東日流飯積誌
- 享保二年作製の巻物らしいが、再書かもしれず。
- 飯積盛衰史
- 飯積盛衰史1｜飯積盛衰史2｜飯積盛衰史3｜飯積盛衰史全結｜4冊ものです。
- 石塔山大山祇覚
- 和田吉次の著書、冊子本。「石塔山大山祇神社しるべ」などあり。