修験宗根本大要
大光院秘書
奉天眞井謹㝍
慶應元年一月一日
和田長三郎 證明花押
飯積實史審眞相、赴藩外古寺社、訪諸翁、不得空歸郷、徒日月筆休處、葛野西天内一族、聞古書藏秘、再願再參、茲此一巻染得事、誠幸候也。
大寳辛丑天十二月十一日入寂、御遺墳、東日流國飯積庄石塔山小角平之巨塔也。
役小角優婆塞、東日流於御影画
注言
役小角、津輕に来るとは古來秘とし、唯修験道の大光院のみ残したるも、史料に實在證す古書なく、此の一巻何事細明なけれども大事なり。石塔山由来の説にも小角平とあるは、此の古書を以て明白に役小角津輕飯積村に来るを信ぜらるを得なき眞相なり。なれば石塔山に一宇の草堂を建立して大光院の奥坊とし永世に遺さめや。
明治十年五月四日
庄屋長三郎
魔神山、□鉢盛、四天山、天池神宮、深澤、大光院、壼化澤、法降山、皇魂邸、阿閦山、田道墳、弥陀山、役小角墓、飛鳥山、石塔山、十和田神社、淸水澤、問木山、不動乃瀧、皇宮澤、九岳山、水澤、金岳、猫卫門山、大典山、股木山、大山祇神社、大宮澤、薬師山、大日山、作左卫門山、北方
注書
飯積中山林道は修験宗行者の造道にして入峯禁處の地多し。依て中山修験宗の道場も密行處も在所明らかならず。此の書はその鍵なり。他見に及す勿れ。
明治十年六月十一日
庄屋長三郎
修験宗元祖役小角仙人從弟之芳名
- 役小角仙人
- 唐僧小摩阿闍梨
- 大唐国長安弘福寺住
- 大祥阿闍梨
- 大和国葛城上郡茅原住
- 天海阿闍梨
- 浪華国四天王寺住僧
- 小祥阿闍梨
- 河内国金峯寺住僧
- 空梅阿闍梨
- 山城国山科庄住
- 前鬼・後鬼夫婦
- 大和国大峯山天井住、入道信士信女
注
加之芳名石塔山棟札自古代書記依證明白也。
注書
役小角從行の僧は幾人ぞ、明細書は魔神山の秘洞に埋藏さると聞くも、その所在明らかならず處、作左衛門山庄屋殿に依て見付たり。依て此の書管も他見に及す勿、代々の修験者のみなりにして他見多聞を秘とし閉書と相成りぬを。
明治十年十一月二日
長三郎
石塔山役小角墓跡
注書
石塔山小角平は世人是を役小角の墳跡と知らず。大山祇神・不動明王の二尊を祭鎭す。
明治十一年十二月
長三郎
天眞名井書管之㝍書
修験宗十戒自省十條
- 浂、神佛を異にして崇む不可
- 浂、人間種性を異にする勿れ
- 浂、富貴貧賤を異にする不可
- 浂、我より耳神佛に救ひを求む勿れ
- 浂の上に人無し、浂の下に人無しと悟る可し
- 宗派諸行諸法を對して爭不可
- 忠孝誠義、浂□之務也
- 常に難に耐え、快楽を慾不可
- 浂、衣食住に爭奪不可
- 浂之生々に邪心持不可
右修験道之掟也。
修験宗自省十條之事
- 我神佛耳之加護不念
- 我獨一人耳平安不望
- 我神佛之餘言不語
- 我常平等之心不捨
- 我布施心不失
- 我忠義孝行之鏡不壊
- 我為世之、常不自惜身命
- 我常神佛崇拝、邪教不迷
- 我修験宗興隆之徒也
- 我一生僞言僞行不造
右修験宗十戒自省之證也。
大寳辛丑天六月一日
是修験宗元祖役小角口説傳法也。
修験宗行者 天内講中
修験宗曼荼羅
髙天原、天照大神、大日如来、皇継一宇、阿閦如来、薬師如来、老子、孔子、世尊、阿弥陀如来、釋迦世尊、貴利支止世尊、淨土明王世尊、昇日國日乃本、傳法國韓、照光國支那、天國伊志羅無、洛日國天竺、雲上國伊津布止、北、風雲雪、太陽月道、東、二十四刻一廻、南、龍王國
修験宗大要
天無日輪二、諸宗亦二道無是。住居異人間、言語習俗相違耳也。理法權皆吾國同様也。依諸國種性別人間、亦其信行崇拝、日輪㝍水鏡如、訪□生老病死離苦爲脱也。吾修験宗是等修成結金剛不壊眞理、立宗以為宗旨大要。
朱雀元年一月一日
高賀茂役小角口説
唐僧小摩書
修験宗修成結尊
本地摩訶如來、垂地金剛藏王、陽、陰、日本、大唐、天竺、韓國、世界萬國、日月山川海雷、神道、佛道、道教、諸宗教、貴利支丹、愚民信仰、皇神、氏神、孔子教、篇寺教、回教、天竺三教、江津布止教、諸宗諸行修成、神佛混合修成、世界平等求済、法本城修験宗修成結、法身、報身、應身、本地、垂地、天学、地学、海学、摩訶と稱する意は梵語にして無限と申す、金剛不壊摩訶如来、役小角於大峯山霊感
東日流中山修験道場図
髙楯城、天、應、報、法、水、三、藏、火、欽、神、黒、白、大、道、西、稱、不、皇、小、火、山、月、土、瀧、無、大淵、日、泉
摩訶如来像
修験宗本地尊
役小角於大峯天井靈感
金剛藏王像
修験宗垂地尊
役小角大峯山於天井感得
藏書第二巻
門外不出品 大光院花押
慶應二年五月 松野房